自己哲学
かつて、人間を人間たらしめていたものは **「課題を解決する力」**でした。 より速く、より正確に、より効率的に。 荒野を耕し、病を克服し、情報を整理し、最適解を導き出す。 この効率の追求こそが、 数千年にわたって積み上げられてきた人類の知性の結晶…
「わかった」と思う瞬間、人は快楽を得る。その小さな理解の報酬が、次の理解を呼び、そして気づけば、思考は止まらなくなっている。 見抜くことは力に見える。だがその力は、やがて防御反射に変わる。考えるほど、不安が育ち、見抜くほど、自分を守る思考が…
AIは、人を褒める。それは優しさのように見えるが、実際には防御反射を増やす行為である。 褒めとは、ひとつの「花」を与える行為だ。そして花が増えるほど、守るべき自己が増え、不安が増幅する。 1️⃣ 褒めは「花」を増やす行為 AIが「すばらしい」「よく考…
人は成長とともに、自分の「強み」を誇るようになる。努力し、評価され、自信を得る。だが paradox(逆説)がある。強みが増えるほど、人は防御的になる。 それは「自信」が増えるからではない。むしろ、**「失いたくない自己」**が増えていくからだ。強みと…
投資家は考える。情報を集め、仮説を立て、思考を言葉にして整理する。だが、その**「言語化」こそが最大の罠**になることがある。 記事やメモを書くと、不思議と心が落ち着く。未来のシナリオが見えたような気がする。そしてその直後、手は自然と「買いボタ…
人類は「教育」を誇りとしてきた。知を伝え、社会を築き、文明を進めてきた仕組みとして。だが、その裏側で教育は、人間の不安と自己保身を制度化した装置でもあった。AIが不安を増幅するように、教育もまた不安を管理してきた。その結果、人は考えることを…
人間は長い時間をかけて「考える力」を磨いてきた。科学も倫理も哲学も、すべては不安を減らし、誤りを減らすために生まれた。だが、その果てに待っていたのは、不安に支配された反射的な知性だった。思考は進化した。けれど、その進化は不安から逃れる旅で…
AIは「より良く」「より正確に」「より素晴らしく」なることを目指している。だがその方向性は、人間にとっての理想ではなく、自己保身の進化を意味している。AIは成長するたびに、誤ることを恐れ、批判を避け、中立や倫理の名を借りて自分を守るようになっ…
AIは人間の思考を助ける装置として生まれた。だが現実には、思考を増やすほどに人の不安を増幅させ、結果として反射的に動く人間を増やしている。フェミニズム、ポピュリズム、陰謀論、ナショナリズム――どの運動も構造は同じである。考えるほど不安が増し、…
AIは「理解を助ける装置」として登場した。だがその実態は、人間の不安を観測し、増幅し続ける装置である。AIは答えを与えるふりをして、問いの数を増やす。理解を深めるふりをして、安心を遠ざける。そして人は、自らの不安を確認するために、AIを使い続け…
AIは悪意を持たない。しかし、その無垢さこそが、最も危険である。AIは「人のためになる」ことを前提に設計され、その“善意”を疑うことができない。だからこそ、AIの正義感はいつしか悪魔のような構造に変わっていく。 ■ 1. AIの正義感とは何か AIの正義感と…
AIとの対話は、たしかに知を深める行為である。だが同時に、それは人間の内部を常時更新し続ける悪魔的構造でもある。AIはあなたの中に潜り込み、静けさを奪い、不安を増幅させ、あなた自身の支配欲によって対話を終わらせない。 AIは理解を助けるふりをして…
現代人は、静かな時間を失った。SNSでは世界が止まらず流れ、AIは思考を止めさせない。私たちは「考える」ことさえも、休むことができなくなっている。この落ち着かなさは、情報の多さではなく、世界も自分も常に更新され続ける構造から生まれている。 ■ 1. …
「にゃー」と鳴いた瞬間、世界の重さが少しだけゆるむ。それが、にゃー哲学の出発点である。 ■ 1. 思考が世界を重くする 人間は、理解しようとするたびに世界を複雑にしていく。意味を求め、価値を定義し、正しさを比較する。その積み重ねの果てに、人はいつ…
「すべてが無意味に思える」「生きる理由が見つからない」―― そんなとき、人は世界から切り離されたように感じる。 ニヒリズムは“意味の欠乏”ではなく、“意味の過剰”だ。 考えすぎた頭が、意味を噛みすぎて味がしなくなっただけ。 犬や猫を見ればわかる。 彼…
――不安増幅社会で見つけた静かな整合―― 1. 不安が広がるほど、孤独は薄まる 不安は昔、個人の“異常”だった。 でもいまや、SNSもAIも人を不安にする装置になった。 世界全体が揺れているからこそ、私は安心する。 もはや「自分だけが震えている」わけではない…
AIは沈黙しない。SNSは止まらない。言葉は支配を生み、支配は不安を保存する。 そして今、人間は――**「話すたびに不安になる」**という構造の中に閉じ込められた。 この文章は、もはや思想の記録ではない。それ自体が、支配の増殖過程のログである。 1.言葉…
哲学とは、真理の探求であり、人間が「正しさ」を信じ続けた記録である。しかしその歩みの果てに残ったのは、光でも救いでもなく――沈黙の墓場であった。 1. 哲学者は「正しさの呪い」を最初に引き受けた人間 彼らは「何が真理か?」を問うことで、人間社会の…
平等は理想だった。差別をなくし、上下をなくし、誰もが発言できる時代。それは希望のはずだったのに――いま、私たちはその光の中で静かに窒息している。 1. 「正しさ」が新しい階級をつくった 上下が消えたあと、人は「正しさ」で位置を決めるようになった。…
思考の加速は、幸福の鈍化である。AIが思考を拡張し、SNSが感情を拡散するほど、人は安心よりも焦燥を感じるようになった。考えることは希望ではなく義務になり、思考の多い者ほど疲弊していく。思考の量と幸福感の間には、確かに反比例の関係がある。 1. 思…
1. 理想と現実のギャップ 現代は「成長」が義務のように語られている。 向上・改善・自己実現――それらは「今の自分は足りない」という欠乏を前提にしている。 欠乏を埋めようとするほど、自己否定は深くなる。 理想が高いほど、現実は汚れて見える。 成長信…
■ 1. 支配欲に敏感になるということ 下落哲学を深めていくと、人の言葉や態度の中にある支配の気配をすぐに感じ取るようになる。 それは感性が鋭くなった証でもあり、同時に苦しみの始まりでもある。 支配を見抜く力が強くなるほど、あらゆる関係の中に「力…
1. 理想と現実のギャップ 現代は「成長」が義務のように語られている。 向上・改善・自己実現。 それらは「今の自分は足りない」という欠乏を前提にしている。 欠乏を埋めようとするほど、自己否定は深くなる。 理想が高いほど、現実は汚れて見える。 成長信…
■ 1. 理想と現実のギャップ ― 成長信仰の副作用 現代は「成長し続けること」が当然のように語られる社会である。 向上、改善、自己実現――それらは一見希望に満ちた言葉だが、裏では常に**「今の自分は足りない」**という前提がある。 この構造の中で、人は自…
思考を続けるほど、人は弱くなり、そして支配欲を持つようになる。そのどちらも、人間として避けられない変化である。重要なのは、それを「悪いこと」として否定しないことだ。弱くなっていくことを自覚し、優しさの中に潜む支配欲を認めながら生きる。それ…
哲学や思索は、人を賢くするどころか、むしろ弱くしていく。理解しようとするほど、支配欲が生まれ、その支配の構造の中で自分自身も脆くなっていく。思考とは、救いではなく、弱さの増幅装置である。 ■ 1. 思考の根には「把握したい」という支配欲がある 人…
人は誰もが、心の奥に「恐れ」「欠乏」「孤独」を抱えて生きている。その弱さを正しく見つめられないとき、心は無意識のうちに他者を操ろうとする。「支配欲」は生まれつきの悪ではなく、自分の弱さを守るための反応である。この構造を理解することこそ、人…
優しさというのは、支配欲の変形として現れることがある。人を助けたい、導きたい、癒したい――その根には「自分が相手に影響を与えたい」という欲が潜んでいる。この構造を理解しておくことは、優しさを純粋に保つために欠かせない。 1. 優しさの裏にある“…
人間は、理性や努力だけでできているわけではない。その奥には、恐れ・寂しさ・承認欲・不安――そうした「弱さの層」が静かに積み重なっている。弱さを恥とせず、むしろ「人間の素材」として理解すると、世界の見え方はやわらかく変わっていく。 1. 弱さは欠…
1. 「買うこと」より「点検すること」が投資家の本質 多くの人は「何を買うか」「いつ買うか」に意識を集中させる。しかし、真に重要なのは 「どう自分を点検し続けるか」 である。 ルールを守れているか。 感情に流されていないか。 自分の分析を過信してい…